今回は2019年C方式の問題を解説していきたいと思います。C方式はセンター試験と独自試験のMIX型の選抜方式で、学科関係なく同一の試験が行われます。
問題文全文
以下で, \(log x\) は \(x\) の自然対数を表し, \(e\) は自然対数の底とする.
(1) \(\displaystyle \int_0^1\frac{1}{1+e^t}dt= \fbox{$\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}+\log \frac{ \fbox{$\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$} }{ \fbox{$\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$} +e}\) である.
等式 \(\displaystyle f(x)=\frac{1}{e^x\left(1+e^x\right)}-\int_0^1 e^{t-x}f(t)dt\) を満たす関数 \(f(x)\) に対して, \(\displaystyle \int_0^1e^tf(t)dt\) は定数であることに注意して
である.
(2) 関数 \(\log \left(\log x\right)\left(x>1\right)\) の導関数は \(\displaystyle \frac{d}{dx}\log \left(\log x\right)=\frac{ \fbox{$\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$} }{x\log x}\) である.
また, 関数 \(f(x)\) の \(x=2\) における微分係数は \(\displaystyle \lim_{x\rightarrow 2}\frac{f(x)-f(2)}{x-2}\) であることに注意して, 極限 \(\displaystyle \lim_{x\rightarrow 2}\frac{1}{x-2}\int_{4-x}^x\frac{2t}{\left(t^2+3\right)\log \left(t^2+3\right)}dt\) は\(\displaystyle \frac{\fbox{$\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}}{\fbox{$\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$} \log \fbox{$\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}}\) である.
(1)の解答
\(a\) を定数として, \(\displaystyle a=\int_0^1e^tf(t)dt\) とおく.
よって, \(\displaystyle f(0)=\frac{1}{2}-a\cdots ①\)
したがって, \(\displaystyle 2a=1+\log \frac{2}{1+e}\) であるから
① に代入して, \(\displaystyle f(0)=\frac{1}{2}-\left(\frac{1}{2}+\frac{1}{2}\log \frac{2}{1+e}\right)=\frac{1}{2}\log \frac{1+e}{2}.\)
基本的な計算問題ですので確実に正解したいところです.
(2)の導関数部分の解答
(2)の極限部分の着眼点
① 微分係数について丁寧な誘導がついています. この問題は与式をいかにしてこの微分係数の定義が使える形に変形できるかが最大のポイントです.
② すでに \(\displaystyle \frac{1}{x-2}\) はありますので, インテグラル部分を \(g(x)-g(2)\) のような形にできないかを考えることになりそうです.
③ 被積分関数に注目してみます. 明らさまに最初に計算させられた \(\log \left(\log x\right)\) の導関数と同じ形をしています. \(x=t^2+3\) に置き換えることになるでしょう. 分子は \(2t\) ですから, \(t^2+3\) を微分したものになっています. いわゆる「微分接触系」の積分です. 代ゼミの荻野先生風に言えば「\(f, g, g^{\prime}\) いつもやるのは緑の積分」というやつです(笑)ちなみに「微分接触系」というのは関数 \(f(x)\) の原始関数の1つを \(F(x)\) とするとき
として置換をせずに一気に積分を求めることです.
(2)の極限部分の解答 前半
\(g(t)=\log \left\{\log \left(t^2+3\right)\right\}\) とおくと, \(\displaystyle g^{\prime}(t)= \frac{2t}{\left(t^2+3\right)\log \left(t^2+3\right)}\) であるから,
\(\displaystyle \lim_{x\rightarrow 2}\frac{g(4-x)-g(2)}{x-2} \)を求めるための着眼点
あと一歩のここで一度手が止まるのではないかと思います. もちろん, ここのところも適切な変形をすることで \(g^{\prime}(2)\) に帰着できるはずです. 注目すべきはやはり厄介そうな\(g(4-x)\)です. \(y=4-x\) とでも置いて変形を試みます. 今回はこれだけでうまくいきますが, 問題によってはさらに分子分母で帳尻合わせするような変形が必要になるかもしれません.
(2)の極限部分の解答 後半
② 式において, \(y=4-x\) とおくと, \(x\rightarrow 2\) のとき, \(y\rightarrow 2\) であるから,
理科大は易しすぎず難しすぎず適当なレベルを出題してきますね. 最後の極限計算でもう一捻り欲しいところですが, 全学部共通のC方式試験なのでこのレベルで落ち着いたのだと思います.