理学部第二部(数学科専用問題)2020年第4問

理【二部】(数学科専用)
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問題文全文

自然数 \(m, n\) に対して, \(\displaystyle I_{m, n}=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos^mx\sin^nxdx\)と定める. 次の問いに答えよ.

(1) 関数 \(y=\sin^3x\) を微分せよ.

(2) \(\displaystyle I_{1, n}=\frac{1}{n+1} (n=1, 2, 3, \cdots)\) となることを証明せよ.

(3) 自然数 \(p\) に対して,

\begin{align}I_{2p-1, n}=\frac{2^{p-1}(p-1)!}{(n+1)(n+3)(n+5)\cdots (n+2p-1)}(n=1, 2, 3,\cdots)\end{align}

となることを数学的帰納法を用いて証明せよ. ただし, \(0!=1\) とする.

(4) \(\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}n^4I_{7, n}\) を求めよ.

(5) \(J_q=I_{2q-1, 49-2q}(q=1, 2, 3, \cdots , 24)\) とする. \(J_q\) が最小となる \(q\) を求めよ.

(1), (2)の解答

quandle
quandle

(1) は合成関数の微分をするだけ, (2) は \(m=1\)を代入して\(\int f(g(x))g^{\prime}(x)dx=F(g(x))+C\) を利用した積分計算です. もちろん (2) は \(\sin x=t\) と置いて置換積分で求められるのですが, 理科大を受験するのであれば, 置換せずに積分できるくらいの計算力はぜひ身に付けておいてほしいです.

(1) \(y^{\prime}=3\sin^2x\cos x.\)

(2) \(m=1\) のとき, \(\cos x=(\sin x)^{\prime}\) であることに注意して,

\begin{align}I_{1, n}=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos x\sin^nxdx\end{align}

\begin{align}=\biggl[\frac{1}{n+1}\sin^{n+1}x\biggr]_0^{\frac{\pi}{2}}=\frac{1}{n+1}.\end{align}

quandle
quandle

(1) は (2) のヒントになっています. (1) の逆演算をすることで, \(\displaystyle\int \cos x\sin^2xdx=\frac{1}{3}\sin^3x+C\) が分かります. これで \(I_{1,2}\) の検算ができます.

(3)の着眼点

① あくまでも \(p\) に関する帰納法であることに注意が必要です. \(p=k\) のときを仮定して, \(p=k+1\) のときを証明するのですが, このとき左辺を \(I_{2k,n}\) としてはいけません. 正しくは, \(I_{2(k+1)-1,n}\) より, \(I_{2k+1,n}\) です.

② 「 \(I_{2k-1,n}\) 」を仮定するというのは「\(p=k\) のときに任意の自然数 \(n\) について仮定しますよ」という意味です. つまり, \(I_{2k-1, n+2}\) についても \(n+2\) が自然数なので仮定が利用できるということです.

③ 帰納法での証明のコツは「ゴールの形をきちんと認識して, その形を目指して変形を施していく」ということです. この問題であれば, \(p=k+1\) のときに目指すべき式は

\begin{align}I_{2k+1,n}=\frac{2^k\cdot k!}{(n+1)(n+3)(n+5)\cdots (n+2k-1)(n+2k+1)}\end{align}

です.

(3)の解答

I)\(p=1\) のとき, \(\displaystyle I_{1, n}=\frac{2^0\cdot 0!}{n+1}=\frac{1}{n+1}\) となるので, (2) より成立.

ii)\(p=k\) のとき

\begin{align}I_{2k-1, n}=\frac{2^{k-1}(k-1)!}{(n+1)(n+3)(n+5)\cdots (n+2k-1)}(n=1, 2, 3,\cdots)\end{align}

が成り立つと仮定する. \(p=k+1\) のとき

\begin{align}I_{2k+1, n}=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos^{2k+1}x\sin^nxdx\end{align}

\begin{align}=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos^2x\cos^{2k-1}x\sin^nxdx=\int_0^{\frac{\pi}{2}}(1-\sin^2x)\cos^{2k-1}x\sin^nxdx\end{align}

\begin{align}=I_{2k-1,n}-I_{2k-1, n+2}\end{align}

\begin{align}=\frac{2^{k-1}(k-1)!}{(n+1)(n+3)(n+5)\cdots (n+2k-1)}-\frac{2^{k-1}(k-1)!}{(n+3)(n+5)(n+7)\cdots (n+2k-1)(n+2k+1)}\end{align}

\begin{align}=\frac{2^{k-1}(k-1)!}{(n+3)(n+5)\cdots (n+2k-1)}\left(\frac{1}{n+1}-\frac{1}{n+2k+1}\right)\end{align}

\begin{align}=\frac{2^{k-1}(k-1)!}{(n+3)(n+5)\cdots (n+2k-1)}\times\frac{2k}{(n+1)(n+2k+1)}\end{align}

\begin{align}I_{2k+1,n}=\frac{2^k\cdot k!}{(n+1)(n+3)(n+5)\cdots (n+2k-1)(n+2k+1)}\end{align}

よって, \(p=k+1\) のときも成り立つ. i), i i)により, 全ての自然数 \(p\) において成り立つ.

(4)の解答

quandle
quandle

\(I_{7, n}\) の分母には 1 次式が 4 つ並びますから 4 次式です. そしてそれを \(n^4\) 倍するのですから収束することがわかります. 後は分子を見るだけです.

\begin{align}\lim_{n\rightarrow \infty}n^4I_{7, n}=\lim_{n\rightarrow \infty}n^4\frac{2^3\cdot 3!}{(n+1)(n+3)(n+5)(n+7)}\end{align}

\begin{align}=\lim_{n\rightarrow \infty}\cfrac{48}{\left(1+\cfrac{1}{n}\right)\left(1+\cfrac{3}{n}\right)\left(1+\cfrac{5}{n}\right)\left(1+\cfrac{7}{n}\right)}=48.\end{align}

(5)の着眼点

\(J_q\) は \(I_{2q-1, 49-2q}\) の形で定義されているので (3) により分数の形をしています. 「一般項が分数形の最大・最小問題」「隣接2項間の比をとって, 1との大小比較」で攻めるのが定石です. 後は式が煩雑になるので, ミスなく処理できるよう気をつけたいです.

\begin{align}\frac{J_{q+1}}{J_q}=\frac{I_{2q+1, 47-2q}}{I_{2q-1, 49-2q}}\end{align}

\begin{align}=\frac{2^{q+1}(q+1)!}{(48-2q)(50-2q)(52-2q)\times \cdots \times 48}\times \frac{(50-2q)(52-2q)\times \cdots \times 48}{2^{q-1}(q-1)!}\end{align}

\begin{align}=\frac{2q(q+1)}{48-2q}=\frac{q(q+1)}{24-q}(q=1, 2, 3, \cdots , 23)\end{align}

\(q=1, 2, 3, \cdots , 23\) において, \(24-q>0\) であることに注意して,

\begin{align}\frac{J_{q+1}}{J_q}<1\Leftrightarrow q(q+1)<24-q\end{align}

\begin{align}\Leftrightarrow (q+6)(q-4)<0\Leftrightarrow-6<q<4\end{align}

同様に

\begin{align}\frac{J_{q+1}}{J_q}=1\Leftrightarrow q=-6, 4\end{align}

\begin{align}\frac{J_{q+1}}{J_q}>1\Leftrightarrow q<-6, 4<q\end{align}

以上より,

\(\left\{\begin{array} {l}J_{q+1}<J_q(1\leqq q\leqq 3) \\ J_{q+1}=J_q( q=4) \\ J_{q+1}>J_q~~( 5\leqq q\leqq 23)\\ \end{array}\right.\)

すなわち,

\begin{align}J_1>J_2>J_3>J_4=J_5<J_6<J_7<\cdots <J_{23}<J_{24}\end{align}

よって, \(J_q\) が最小となる \(q\) は

\(q=4, 5.\)

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