公立諏訪東京理科大学2023年中期第2問

公立諏訪【中期】
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公立諏訪東京理科大学2023年中期第2問の問題文全文

以下の問いに答えよ. ただし\(,\) \(e\) は自然対数の底とする.

(1) \(1+\cos{x}\) を \(\displaystyle \cos{\frac{x}{2}}\) を用いて表せ.

(2) \(\displaystyle \frac{1+\sin{x}}{1+\cos{x}}\) を \(\displaystyle \cos{\frac{x}{2}}\) と \(\displaystyle \tan{\frac{x}{2}}\) を用いて表せ.

(3) 次の不定積分を求めよ. ただし\(,\) \(f^{\prime}(x)\) は \(f(x)\) の導関数である.

\begin{align}\int e^x\{f^{\prime}(x)+f(x)\}dx\end{align}

(4) 次の不定積分を求めよ.

\begin{align}\int e^{x}\frac{1+\sin{x}}{1+\cos{x}}dx\end{align}

全体の着眼点〜問題の流れを考えて見通しよく〜

最終的に求めたいのは (4) の

\begin{align}\int e^x\frac{1+\sin{x}}{1+\cos{x}}dx\end{align}

です. これを単独で解くのは難しそうです. (1) 〜 (3) が誘導になっているはずと考えましょう!

(3) をみると

\begin{align}\int e^x\{f^{\prime}(x)+f(x)\}dx\end{align}

となっていて\(,\) (4) と同じ \(e^x\cdot \fbox{$\hskip0.4em \hskip0.4em\Rule{0pt}{0.4em}{0.4em}$}\) の形なので\(,\)

「 \(\displaystyle \frac{1+\sin{x}}{1+\cos{x}}\) の全体(もしくは一部分)が \(f^{\prime}(x)+f(x)\) の形をしているのかもしれない」

と予測できます. つまり\(,\)

「\(f(x)\) の形を具体的に決めに行くことになりそう.」

と予測できます. これと合わせて\(,\) (2) で

「\(\displaystyle \frac{1+\sin{x}}{1+\cos{x}}\) を \(\displaystyle \cos{\frac{x}{2}},~\tan{\frac{x}{2}}\) で表せ」

と言われているので\(,\)

「\(f(x)\) が \(\displaystyle \cos{\frac{x}{2}}\) と \(\displaystyle \tan{\frac{x}{2}}\) で表せるのかな」

と全体像を予測することができます. ここまで見通しを立てておけばかなり解きやすくなるはずです.

(1) の解答〜半角の公式の確認問題〜

半角の公式より\(,\)

\begin{align}\cos^2{\frac{x}{2}}=\frac{1+\cos{x}}{2}\end{align}

\begin{align}\therefore 1+\cos{x}=2\cos^2{\frac{x}{2}}~~~~\cdots \fbox{答}\end{align}

(2) の解答〜2倍角の公式を使うのは盲点かも〜

\begin{align}\frac{1+\sin{x}}{1+\cos{x}}=\cfrac{1+2\sin{\cfrac{x}{2}}\cos{\cfrac{x}{2}}}{2\cos^2{\cfrac{x}{2}}}\end{align}

\begin{align}=\cfrac{1}{2\cos^2{\cfrac{x}{2}}}+\cfrac{\sin{\cfrac{x}{2}}}{\cos{\cfrac{x}{2}}}\end{align}

\begin{align}=\cfrac{1}{2\cos^2{\cfrac{x}{2}}}+\tan{\frac{x}{2}}~~~~\cdots \fbox{答}\end{align}

quandle
quandle

\begin{align}\sin{x}=2\sin{\frac{x}{2}}\cos{\frac{x}{2}}\end{align}

の変形は経験がないとなかなか発想として出てこないと思います.
(1) で半角の公式が出てくるのでセットで2倍角のことも思い出してあげてください.

(3) の解答〜 \(e^x\{f^{\prime}(x)+f(x)\}\) をどう見るか〜

\begin{align}I=\int e^x\{f^{\prime}(x)+f(x)\}dx\end{align}

とおく.

\begin{align}\int e^xf(x)dx=e^xf(x)-\int e^xf^{\prime}(x)dx\end{align}

\begin{align}\therefore I=e^xf(x)+C~(~C~は積分定数~)~~~~\cdots \fbox{答}\end{align}

quandle
quandle

\(I\) は不定積分なので積分定数 \(C\) を忘れないようにしましょう!
また\(,\) 与式の \(e^x\{f^{\prime}(x)+f(x)\}\) を

\begin{align}e^xf^{\prime}(x)+(e^x)^{\prime}f(x)\end{align}

と見ることで「部分積分が使えそう!」という発想を得ることができます.

(4) の解答〜 \(f(x)\) をどうおくか〜

(2) より\(,\)

\begin{align}\frac{1+\sin{x}}{1+\cos{x}}=\cfrac{1}{2\cos^2{\cfrac{x}{2}}}+\tan{\frac{x}{2}}\end{align}

\begin{align}=\left(\tan{\frac{x}{2}}\right)^{\prime}+\tan{\frac{x}{2}}\end{align}

とかけるので\(,\)

\begin{align}f(x)=\tan{\frac{x}{2}}\end{align}

とおく. (3) が成り立つことに注意して計算すると\(,\)

\begin{align}\int e^x\cdot \frac{1+\sin{x}}{1+\cos{x}}dx\end{align}

\begin{align}=\int e^x\left\{\left(\tan{\frac{x}{2}}\right)^{\prime}+\tan{\frac{x}{2}}\right\}dx\end{align}

\begin{align}=\int e^x\{f^{\prime}(x)+f(x)\}dx=e^xf(x)+C~(~C~は積分定数~)\end{align}

\begin{align}=e^x\tan{\frac{x}{2}}+C~~~~\cdots \fbox{答}\end{align}

quandle
quandle

問題の流れを考えて適切に誘導に乗るためのいい練習問題かとおもいます.

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