公立山口 工学部前期 2020年第4問

公立山口 工【前期】
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問題文全文

\(a,~b,~c~(a\neq b,~c\neq 0)\) を定数とする関数

\begin{align}f(x)=a\cos^2 x+b\sin^2 x+2c\cos x\sin x~~~~\left(-\frac{\pi}{4}<x<\frac{\pi}{4}\right)\end{align}

がある. このとき\(,\) 次の各問いに答えなさい.

(1) \(\cos x\) と \(\sin x\) のそれぞれを \(\tan x\) のみで表しなさい.

(2) \(f(x)\) が \(x=k\) で極値をとるとき\(,\) \(\tan{2k}\) の値を \(a,~b,~c\) を用いて表しなさい.

(3) (2) のとき\(,\) (1) と (2) の結果を利用して\(,\) \(f(k)\) の値を \(a,~b,~c\) を用いて表しなさい.

(1) の着眼点

① まず \(\cos x\) を \(\tan x\) で表すことを考えます. この 2 つをつなぐ関係式を考えてみましょう. 三角関数の相互関係や \(\tan x\) の微分が候補になります.

\begin{align}1+\tan^2x=\frac{1}{\cos^2x}\end{align}

\begin{align}(\tan x)^{\prime}=\frac{1}{\cos^2x}\end{align}

微分の関係式は \(\cos x=\) の形にするのが難しそうですので\(,\) 相互関係を使いましょう.

② 次に \(\sin x\) を \(\tan x\) で表すことを考えます. この 2 つをつなぐ関係式を考えてみたいところですが思いつきません.

先ほど \(\cos x\) を \(\tan x\) で表すことができました. つまり\(,\) \(\sin x\) を \(\cos x\) で表すことができればよいと考えます. \(\sin x\) を \(\cos x\) に変換できる公式としては以下が候補になります.

\begin{align}\sin^2x+\cos^2x=1\end{align}

\begin{align}(\sin x)^{\prime}=\cos x\end{align}

\begin{align}\sin\left(x+\frac{\pi}{2}\right)=\cos x\end{align}

どれを使っても計算できそうですが\(,\) 大変そうです. もっと便利な公式があります. \(\cos x\) がすでに \(\tan x\) で表されているので\(,\)

\begin{align}\sin x=\tan x\cos x\end{align}

を使えば一発でいけます.

(1) の解答

\begin{align}1+\tan^2x=\frac{1}{\cos^2x}\end{align}

より\(,\)

\begin{align}\cos^2x=\frac{1}{1+\tan^2x}\end{align}

\(\displaystyle -\frac{\pi}{4}<x<\frac{\pi}{4}\) より\(,\) \(\cos x>0\) なので

\begin{align}\cos x=\frac{1}{\sqrt{1+\tan^2x}}.\end{align}

\begin{align}\sin x=\tan x\cos x=\frac{\tan x}{\sqrt{1+\tan^2x}}.\end{align}

(2) の解答

\begin{align}f^{\prime}(x)=2a\cos x(-\sin x)+2b\sin x\cos x+2c\cos{2x}\end{align}

\begin{align}=(b-a)\sin{2x}+2c\cos{2x}\end{align}

\(x=k\) で極値をとるから\(,\) \(f^{\prime}(k)=0\) なので

\begin{align}(b-a)\sin{2k}+2c\cos{2k}=0\end{align}

\(a\neq b\) より\(,\)

\begin{align}\frac{\sin{2k}}{\cos{2k}}=\frac{2c}{a-b}\end{align}

\begin{align}\tan{2k}=\frac{2c}{a-b}.\end{align}

逆に\(,\) \(y=\tan{2x}\) が \(\displaystyle -\frac{\pi}{2}<2x<\frac{\pi}{2}\) において単調増加であることから\(,\) \(\displaystyle \tan{2k}=\frac{2c}{a-b}\) となる \(k\) はただ一つ存在し\(,\) \(x=k\) のまわりで \(f^{\prime}(x)\) の符号は入れ替わるから\(,\) \(f(x)\) は \(x=k\) で極値をもつ.

quandle
quandle

一般に

\begin{align}f(x) が x=k で極値をもつ~~ならば~~ f^{\prime}(k)=0\end{align}

は成り立ちますが\(,\) その逆は必ずしも成り立ちません. ですから

\begin{align}\tan{2k}=\frac{2c}{a-b}\end{align}

であるとき\(,\) 極値をもつことを確かめておかないといけません.

(3) の着眼点

(3) は最終的に \(f(k)\) を \(a,~b,~c\) で表すのが目標です.

(2) の問題は 「\(\tan{2k}\) であれば \(a,~b,~c\) で表せますよ.」と主張しています.

つまり\(,\) \(f(k)\) を \(\tan{2x}\) だけで表すことができればOKということです.

さらに\(,\) (1) の問題は 「\(\sin{2k}\) や \(\cos{2k}\) を \(\tan{2k}\) に変換できますよ.」と主張しています.

つまり\(,\) \(f(k)\) を \(\sin{2k}\) や \(\cos{2k}\) だけで表すことができたら全て \(\tan{2k}\) に変換できるので\(,\) 最終的に \(f(k)\) が \(a,~b,~c\) だけで表せることになります.

\(f(k)\) では \(\cos^2k\) や \(\sin^2k,\) そして \(2\sin k\cos k\) が出てきます.

それぞれ\(,\) 以下の半角の公式や2倍角の公式を用いて変形すればいいことがわかります.

\begin{align}\cos^2k=\frac{1+\cos{2k}}{2},~\sin^2k=\frac{1-\cos{2k}}{2}\end{align}

\begin{align}2\sin k\cos k=\sin{2k}\end{align}

(3) の解答

\begin{align}f(k)=\frac{a}{2}(1+\cos{2k})+\frac{b}{2}(1-\cos{2k})+c\sin{2k}\end{align}

\begin{align}=\frac{a-b}{2}\cos{2k}+c\sin{2k}+\frac{a+b}{2}\end{align}

(1) により\(,\)

\begin{align}=\frac{a-b}{2}\cdot \frac{1}{\sqrt{1+\tan^2{2k}}}+c\cdot \frac{\tan{2k}}{\sqrt{1+\tan^2{2k}}}+\frac{a+b}{2}\end{align}

ここで\(,\) (2) により\(,\) \(\displaystyle \tan{2k}=\frac{2c}{a-b}\) であるから\(,\)

\begin{align}\frac{1}{\sqrt{1+\tan^2{2k}}}=\cfrac{1}{\sqrt{1+\left(\cfrac{2c}{a-b}\right)^2}}\end{align}

\begin{align}=\frac{\sqrt{(a-b)^2}}{\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}=\frac{|a-b|}{\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}\end{align}

\begin{align}\frac{\tan{2k}}{\sqrt{1+\tan^2{2k}}}=\frac{2c}{a-b}\cdot \frac{|a-b|}{\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}\end{align}

よって\(,\)

\begin{align}f(k)=\frac{a-b}{2}\cdot \frac{|a-b|}{\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}+\frac{2c^2}{a-b}\cdot \frac{|a-b|}{\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}+\frac{a+b}{2}\end{align}

\(a>b\) のとき\(,\) \(|a-b|=a-b\) より\(,\)

\begin{align}f(k)=\frac{(a-b)^2}{2\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}+\frac{2c^2}{\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}+\frac{a+b}{2}\end{align}

\begin{align}=\frac{(a-b)^2+4c^2}{2\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}+\frac{a+b}{2}\end{align}

\begin{align}=\frac{a+b+\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}{2}.\end{align}

\(a<b\) のとき\(,\) \(|a-b|=-(a-b)\) より\(,\)

\begin{align}f(k)=-\frac{(a-b)^2}{2\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}-\frac{2c^2}{\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}+\frac{a+b}{2}\end{align}

\begin{align}=-\frac{(a-b)^2+4c^2}{2\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}+\frac{a+b}{2}\end{align}

\begin{align}=\frac{a+b-\sqrt{(a-b)^2+4c^2}}{2}.\end{align}

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