理学部(応数・応物・応化)2020年第2問

理(応数・応物・応化)
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問題文全文

2 以上の自然数 \(n\) に対して, 関数 \(f_n(x),~ g_n(x)\) を

\begin{align}f_n(x)=nx^{n-1}\sin \frac{\pi}{2}x,~~g_n(x)=nx^{n-1}\cos \frac{\pi}{2}x\end{align}

と定める. また,

\begin{align}a_n=\int_0^1f_n(x)dx,~~b_n=\int_0^1g_n(x)dx\end{align}

とする.

(1) \(a_2\) の値を求めよ.

(2) \(a_n\) を \(a_{n+2}\) を用いて表せ. また, \(b_n\) を \(b_{n+2}\) を用いて表せ.

(3) \(\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}a_n=a,~~\lim_{n\rightarrow \infty}b_n=b\) とする.

  (a) \(a,~~b\) の値を求めよ.

  (b) \(\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}\frac{a_n-a}{b_n-b}\) を求めよ. また, \(\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}\frac{a_n-a}{(b_n-b)^2}\) を求めよ.

(1)の解答

\begin{align}a_2=\int_0^12x\sin \frac{\pi}{2}xdx\end{align}

\begin{align}=\biggl[2x\left(-\frac{2}{\pi}\cos \frac{\pi}{2}x\right)\biggr]_0^1-\int_0^12\left(-\frac{2}{\pi}\cos \frac{\pi}{2}x\right)dx\end{align}

\begin{align}=\frac{4}{\pi}\int_0^1\cos \frac{\pi}{2}xdx=\frac{4}{\pi}\biggl[\frac{2}{\pi}\sin \frac{\pi}{2}x\biggr]_0^1=\frac{8}{{\pi}^2}.\end{align}

(2)の着眼点

\(a_n\) と \(a_{n+2}\) の関係式を求めます. 積分漸化式ですから部分積分を計算して行きますが, \(x^{n+1}\) を登場させないといけないので, \(x^{n-1}\) の方は積分に, \(\displaystyle \sin \frac{\pi}{2}x\) の方は微分になるように組み合わせる必要があります. 部分積分を 2 回やることになります. \(b_n\) も同様です.

(2)の解答

\begin{align}a_n=\int_0^1nx^{n-1}\sin \frac{\pi}{2}xdx\end{align}

\begin{align}=\biggl[x^n\sin \frac{\pi}{2}x\biggr]_0^1-\int_0^1x^n\cdot \frac{\pi}{2}\cos \frac{\pi}{2}xdx=1-\frac{\pi}{2}\int_0^1x^n\cos \frac{\pi}{2}xdx\end{align}

\begin{align}=1-\frac{\pi}{2}\left\{\biggl[\frac{1}{n+1}x^{n+1}\cos \frac{\pi}{2}x\biggr]_0^1-\int_0^1\frac{1}{n+1}x^{n+1}\left(-\frac{\pi}{2}\sin \frac{\pi}{2}x\right)dx\right\}\end{align}

\begin{align}=1-\frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}\int_0^1(n+2)x^{n+1}\sin \frac{\pi}{2}xdx\end{align}

よって,

\begin{align}a_n=1-\frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}a_{n+2}\end{align}

また,

\begin{align}b_n=\int_0^1nx^{n-1}\cos \frac{\pi}{2}xdx\end{align}

\begin{align}=\biggl[x^n\cos \frac{\pi}{2}x\biggr]_0^1-\int_0^1x^n\left(-\frac{\pi}{2}\sin \frac{\pi}{2}x\right)dx=\frac{\pi}{2}\int_0^1x^n\sin \frac{\pi}{2}xdx\end{align}

\begin{align}=\frac{\pi}{2}\left(\biggl[\frac{1}{n+1}x^{n+1}\sin \frac{\pi}{2}x\biggr]_0^1-\int_0^1\frac{1}{n+1}x^{n+1}\cdot \frac{\pi}{2}\cos \frac{\pi}{2}xdx\right)\end{align}

\begin{align}=\frac{\pi}{2}\left\{\frac{1}{n+1}-\frac{\pi}{2(n+1)(n+2)}\int_0^1(n+2)x^{n+1}\cos \frac{\pi}{2}xdx\right\}\end{align}

よって,

\begin{align}b_n=\frac{\pi}{2(n+1)}-\frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}b_{n+2}.\end{align}

(3)の (a) の着眼点(aを求める)

① まずは極限値が何になりそうか予測します. \(\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}a_n=a\) ですから, 当然 \(\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}a_{n+2}=a\) です.

② \(\displaystyle \frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}a_{n+2}\rightarrow 0~~(n\rightarrow \infty\)) となりそうです. (①に注意します)つまり, \(\displaystyle a=\lim_{n\rightarrow \infty}a_n=1\) と予測できます.

③ ②の予測から \(\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}|a_n-1|=0\) を示すことを目標にすれば良さそうです. ここまでを式にしてみると,

\begin{align}\lim_{n\rightarrow \infty} |a_n-1|=\lim_{n\rightarrow \infty}\left|\frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}a_{n+2}\right|\end{align}

となりますが, ここで手が止まります. \(a_{n+2}\) をどうにかしないといけません.

⑤ 直接極限を出すのは難しそうです. ここは不等式を作ってはさみうちに持っていきましょう. そのためには \(a_{n+2}\) をなんとかして上から抑える必要があります.

(3)の (a) の解答( a を求めるまで)

\(0\leqq x\leqq 1\) のとき, \(\displaystyle 0\leqq x^{n-1}\leqq 1,~~0\leqq \sin \frac{\pi}{2}x\leqq 1\) であるから, \(f_n(x)\leqq n\) である.

両辺を \(0\leqq x\leqq 1\) の範囲で積分すると,

\begin{align} a_n=\int_0^1f_n(x)dx<\int_0^1ndx=n\end{align}

となる. つまり, \(n≥2\) なる任意の自然数 \(n\) において \(a_n<n\) である.

\(a_{n+2}<n+2\) であることに注意して,

\begin{align} |a_n-1|=\left|\frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}a_{n+2}\right|<\left|\frac{{\pi}^2}{4(n+1)}\right|\rightarrow 0~~(n\rightarrow \infty)\end{align}

よって,

\begin{align}\lim_{n\rightarrow \infty}a_n=1.\end{align}

(3) の (a) の着眼点( b を求める)

① まずは極限値の予測をします. \(n\rightarrow \infty\) のとき,

\begin{align} \frac{\pi}{2(n+1)}\rightarrow 0\end{align}

であることと, \(a\) のときの経験を生かして

\begin{align} \frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}b_{n+2}\rightarrow 0\end{align}

になりそうであることから, \(\displaystyle b=\lim_{n\rightarrow \infty}b_n=0\) であると予測できます.

② \(a\) のときと同じようにはさみうちを考えます. 今回は \(a\) のときと違い, \(\displaystyle \frac{\pi}{2(n+1)}\) が定数ではないため, \(\displaystyle b_n-\frac{\pi}{2(n+1)}\) の不等式を作ることはできません. そこで 直接 \(b_n\) に関する不等式を作ってみます.

③ まず下から押さえます. \(0\leqq x\leqq 1\) において, 明らかに \(\displaystyle g_n(x)=nx^{n-1}\cos \frac{\pi}{2}x\geqq 0\) ですから, \(\displaystyle b_n=\int_0^1g_n(x)dx>0\) となります. これで下から 0 で押さえることができました.

④ 次に上から押さえることを考えます. \(a_{n+2}<n+2\) を示したときと同様に \(b_{n+2}<n+2\) が言えますのでこれを使って不等式評価してみます.

\begin{align}\frac{\pi}{2(n+1)}-\frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}b_{n+2}>\frac{\pi}{2(n+1)}-\frac{{\pi}^2}{4(n+1)}\end{align}

となってしまいます. 上から押さえる予定だったのに下からの評価を与えてしまいました.

⑤ ④のようになってしまったのはなぜでしょう. それは 2 項目がマイナスになってしまっているため, 不等号の向きが逆になってしまったことが原因です.

「ここがマイナスじゃなくてプラスだったらなあ」

という感情が芽生えてきます. じゃあプラスにしてみましょう. これで④の問題も解消できます.

(3) の (a) の解答(bを求める)

\(0\leqq x\leqq 1\) において,

\(\displaystyle g_n(x)=nx^{n-1}\cos \frac{\pi}{2}x\geqq 0\) であるから, \(\displaystyle b_n=\int_0^1g_n(x)dx>0~~\cdots ①\) である.

一方, \(a_n<n\) を示したときと同様に \(b_n<n\) が示せるので, \(b_{n+2}<n+2\) であることに注意して

\begin{align}b_n=\frac{\pi}{2(n+1)}-\frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}b_{n+2}\end{align}

\begin{align}<\frac{\pi}{2(n+1)}+\frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}b_{n+2}<\frac{\pi}{2(n+1)}+\frac{{\pi}^2}{4(n+1)}~~\cdots ②\end{align}

quandle
quandle

最初の<について補足します. \(\displaystyle \frac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}b_{n+2}\) はプラスの値です. プラスのものを引くより, プラスのものを足す方が全体としては大きくなります.

①, ②より

\begin{align}0<b_n<\frac{\pi}{2(n+1)}+\frac{{\pi}^2}{4(n+1)}\end{align}

\(\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}\left\{\frac{\pi}{2(n+1)}+\frac{{\pi}^2}{4(n+1)}\right\}=0\) であるから, はさみうちにより

\begin{align}b=\lim_{n\rightarrow \infty}b_n=0.\end{align}

(3) の (b) の解答

\begin{align}\lim_{n\rightarrow \infty}\frac{a_n-a}{b_n-b}=\lim_{n\rightarrow \infty}\cfrac{-\cfrac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}a_{n+2}}{\cfrac{\pi}{2(n+1)}-\cfrac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}b_{n+2}}\end{align}

\begin{align}=\lim_{n\rightarrow \infty}\left\{-\frac{\pi a_{n+2}}{2(n+2)-\pi b_{n+2}}\right\}=0.\end{align}

quandle
quandle

2 つ目の=は分子分母を \(\pi\) で割って, \(4(n+1)(n+2)\) 倍することで得られます.

極限値は \(a_{n+2}\rightarrow 1,~~b_{n+2}\rightarrow 0~~(n\rightarrow \infty)\) であることを用いれば 0 になることが分かります.

\begin{align}\lim_{n\rightarrow \infty}\frac{a_n-a}{(b_n-b)^2}=\lim_{n\rightarrow \infty}\cfrac{-\cfrac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}a_{n+2}}{\left\{\cfrac{\pi}{2(n+1)}-\cfrac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}b_{n+2}\right\}^2}\end{align}

\begin{align}=\lim_{n\rightarrow \infty}\cfrac{-\cfrac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}a_{n+2}}{\left\{\cfrac{\pi}{4(n+1)}\left(2-\cfrac{\pi}{n+2}b_{n+2}\right)\right\}^2}=\lim_{n\rightarrow \infty}\cfrac{-\cfrac{{\pi}^2}{4(n+1)(n+2)}a_{n+2}}{\cfrac{{\pi}^2}{16(n+1)^2}\left(2-\cfrac{\pi}{n+2}b_{n+2}\right)^2}\end{align}

\begin{align}=\lim_{n\rightarrow \infty}\cfrac{-4\cdot \cfrac{n+1}{n+2}a_{n+2}}{\left(2-\cfrac{\pi}{n+2}b_{n+2}\right)^2}=\lim_{n\rightarrow \infty}\cfrac{-4\cdot \cfrac{1+\frac{1}{n}}{1+\frac{2}{n}}a_{n+2}}{\left(2-\cfrac{\pi}{n+2}b_{n+2}\right)^2}\end{align}

\begin{align}=\frac{-4\cdot 1\cdot 1}{(2-0)^2}=-1.\end{align}

quandle
quandle

\(\displaystyle \frac{\pi}{n+2}b_{n+2}\rightarrow \frac{\pi}{\infty}\times 0~~(n\rightarrow \infty)\) です. (形式的に書いてます. 答案には書かないようにしてください.)これは不定形ではなく 0 に収束します.

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