理学部(数学科専用)2020年第2問

理(数学科専用)
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問題文全文

\(a,~b,~c\) は,

\begin{align}a=\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-x}dx,~~b=\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-x}\cos xdx,~~c=\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-x}\sin xdx\end{align}

により定まる定数であり, \(f(t),~g(t)\) は,

\begin{align}f(t)=e^{2t}+e^{-2t},~~g(t)=e^{2t}-e^{-2t}\end{align}

により定まる関数である. ただし, \(e\) は自然対数の底である. 以下の問いに答えよ.

(1) \(b+c\) を部分積分法により求めよ.

(2) \(b-c\) を部分積分法により求めよ.

(3) \(a,~b\) および \(c\) を求めよ.

(4) 座標平面において, 実数 \(t\) により定まる曲線 \(y=e^{-x}\left(e^t\sin x+e^{-t}\cos x\right)\), \(x\) 軸および, 2 直線 \(\displaystyle x=\frac{\pi}{8},~~x=\frac{3\pi}{8}\) によって囲まれる図形を \(x\) 軸の周りに 1 回転してできる立体の体積を \(V(t)\) とおくとき, すべての実数 \(t\) について,

\begin{align}V(t)=Af(t)+Bg(t)+C\end{align}

が成立するように, 実数 \(A,~B,~C\) を定めよ.

(5) (4) で定めた \(V(t)\) を定数 \(t\) を変数とする関数として考える. このとき, \(V(t)\) の導関数 \(V^{\prime}(t)\) を \(f(t),~g(t)\) を用いて表せ. また, \(V(t)\) は極値を一つだけとり, その極値が \(V(t)\) の最小値であることを示せ.

(1)の解答

\begin{align}b+c=\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-x}(\cos x+\sin x)dx\end{align}

\begin{align}=\biggl[-e^{-x}(\cos x+\sin x)\biggr]_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}+\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-x}(-\sin x+\cos x)dx\end{align}

\begin{align}=\sqrt{2}e^{-\frac{\pi}{4}}+\biggl[-e^{-x}(-\sin x+\cos x)\biggr]_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}+\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-x}(-\cos x-\sin x)dx\end{align}

\begin{align}=\sqrt{2}e^{-\frac{\pi}{4}}+\sqrt{2}e^{-\frac{3\pi}{4}}-(b+c)\end{align}

したがって,

\begin{align}2(b+c)=\sqrt{2}\left(e^{-\frac{\pi}{4}}+e^{-\frac{3\pi}{4}}\right)\end{align}

\begin{align}b+c=\frac{\sqrt{2}}{2}\left(e^{-\frac{\pi}{4}}+e^{-\frac{3\pi}{4}}\right).\end{align}

(2) の解答

quandle
quandle

(1) と同じようにしても解けますが, \(b-c\) の式をよく見ると(1) で全く同じ形が出現しています. それに気付ければすぐに求めることができます.

\begin{align}b-c=\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-x}(\cos x-\sin x)dx\end{align}

(1) より

\begin{align}=b+c-\sqrt{2}e^{-\frac{\pi}{4}}=\frac{\sqrt{2}}{2}\left(e^{-\frac{\pi}{4}}+e^{-\frac{3\pi}{4}}\right)-\frac{2\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{\pi}{4}}=\frac{\sqrt{2}}{2}\left(e^{-\frac{3\pi}{4}}-e^{-\frac{\pi}{4}}\right).\end{align}

(3) の解答

\begin{align}a=\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-x}dx=\biggl[-e^{-x}\biggr]_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}=e^{-\frac{\pi}{4}}-e^{-\frac{3\pi}{4}}.\end{align}

\begin{align}b=\frac{1}{2}\left\{\frac{\sqrt{2}}{2}\left(e^{-\frac{\pi}{4}}+e^{-\frac{3\pi}{4}}\right)+\frac{\sqrt{2}}{2}\left(e^{-\frac{3\pi}{4}}-e^{-\frac{\pi}{4}}\right)\right\}=\frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{3\pi}{4}}.\end{align}

\begin{align}c=\frac{1}{2}\left\{\frac{\sqrt{2}}{2}\left(e^{-\frac{\pi}{4}}+e^{-\frac{3\pi}{4}}\right)-\frac{\sqrt{2}}{2}\left(e^{-\frac{3\pi}{4}}-e^{-\frac{\pi}{4}}\right)\right\}=\frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\frac{\pi}{4}}.\end{align}

quandle
quandle

\(b\) と \(c\) は単発問題であればそれぞれ部分積分をすることで求められます. ですがせっかく (1) と (2) で \(b+c\) と \(b-c\) を求めているのですからそれを利用しましょう. 足して 2 で割れば \(b\) が求まり\(,\) 引いて 2 で割れば \(c\) が求まります.

(4) の着眼点

① \(y=e^{-x}(e^t\sin x+e^{-t}\cos x)\) のグラフがどうなるかを調べないと回転体の体積は計算できません. でも正確なグラフは必要ありません. \(x\) 軸よりも上にあるのかどうかだけがわかれば形はどうでもいいです.

② 定義域は積分区間である \(\displaystyle \frac{\pi}{8}\leqq x\leqq \frac{3\pi}{8}\) です. この定義域においては, \(e^{-x},~e^t\sin x,~e^{-t}\cos x\) のいずれも正です. よって \(y>0\) ですから, 回転体の体積公式に当てはめるだけでOKです.

ちなみに \(y=e^{-x}(e^t\sin x+e^{-t}\cos x)\) のグラフは以下のような形になります. スライダーで \(t\) を動かせるようにしています. 常に \(x\) 軸よりも上にあることが確認できますね.

③ 定義域が この問題だけ \(\displaystyle \frac{\pi}{8}\leqq x\leqq \frac{3\pi}{8}\) になっています. 明らかに \(\displaystyle \frac{\pi}{4}\leqq x\leqq \frac{3\pi}{4}\) の 半分になっていることに注目すべきです.

\(t=2x\) と置き換える置換積分を考えなければならないのは自然な発想でしょう.

(4) の解答

\(\displaystyle \frac{\pi}{8}\leqq x\leqq \frac{3\pi}{8}\) において, \(e^{-x}>0,~e^t\sin x>0,~e^{-t}\cos x>0\) であるから,

\begin{align}y=e^{-x}(e^t\sin x+e^{-t}\cos x)>0\end{align}

である. よって

\begin{align}V(t)=\pi \int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}y^2dx=\pi \int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}e^{-2x}(e^{2t}\sin^2x+2\sin x \cos x+e^{-2t}\cos^2x)dx\end{align}

\begin{align}=\pi \int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}e^{-2x}\left(e^{2t}\cdot \frac{1-\cos{2x}}{2}+\sin{2x}+e^{-2t}\cdot \frac{1+\cos{2x}}{2}\right)dx\end{align}

\begin{align}=\frac{\pi}{2}e^{2t}\left(\int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}e^{-2x}dx-\int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}e^{-2x}\cos{2x}dx\right)+\pi \int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}e^{-2x}\sin{2x}dx+\frac{\pi}{2}e^{-2t}\left(\int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}e^{-2x}dx+\int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}e^{-2x}\cos{2x}dx\right)\end{align}

ここで, \(t=2x\) とおくと, \(\displaystyle dx=\frac{1}{2}dt\) であり,

\begin{array}{c|c}x & \displaystyle \frac{\pi}{8}\to \frac{3\pi}{8} \\ \hline t & \displaystyle \frac{\pi}{4}\to \frac{3\pi}{4}\\ \end{array}

であるから,

\begin{align}\int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}e^{-2x}dx=\frac{1}{2}\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-t}dt=\frac{1}{2}a\end{align}

\begin{align}\int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}e^{-2x}\cos{2x}dx=\frac{1}{2}\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-t}\cos tdt=\frac{1}{2}b\end{align}

\begin{align}\int_{\frac{\pi}{8}}^{\frac{3\pi}{8}}e^{-2x}\sin{2x}dx=\frac{1}{2}\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{3\pi}{4}}e^{-t}\sin tdt=\frac{1}{2}c\end{align}

となる. よって,

\begin{align}V(t)=\frac{\pi}{2}e^{2t}\left(\frac{1}{2}a-\frac{1}{2}b\right)+\pi\cdot \frac{1}{2}c+\frac{\pi}{2}e^{-2t}\left(\frac{1}{2}a+\frac{1}{2}b\right)\end{align}

\begin{align}=\frac{\pi}{4}a(e^{2t}+e^{-2t})-\frac{\pi}{4}b(e^{2t}-e^{-2t})+\frac{\pi}{2}c=\frac{\pi}{4}af(t)-\frac{\pi}{4}bg(t)+\frac{\pi}{2}c\end{align}

したがって,

\begin{align}A=\frac{\pi}{4}a=\frac{\pi}{4}\left(e^{-\frac{\pi}{4}}-e^{-\frac{3\pi}{4}}\right).\end{align}

\begin{align}B=-\frac{\pi}{4}b=-\frac{\sqrt{2}\pi}{8}e^{-\frac{3\pi}{4}}.\end{align}

\begin{align}C=\frac{\pi}{2}c=\frac{\sqrt{2}\pi}{4}e^{-\frac{\pi}{4}}.\end{align}

(5) の着眼点

やることはもちろん, 微分して増減表を書くことです. ただ闇雲に微分をするのでは記述量がとんでもないことになってしまうので, \(A,~B,~C\) のまま計算することで記述量を減らしましょう.

問題も具体的な \(t\) の値までは聞いていませんので, \(A,~B,~C\) を残したままの形で答えて問題ありません.

(5) の解答

\(V(t)=Af(t)+Bg(t)+C\) より,

\begin{align}V^{\prime}(t)=Af^{\prime}(t)+Bg^{\prime}(t)\end{align}

\begin{align}=A(2e^{2t}-2e^{-2t})+B(2e^{2t}+2e^{-2t})=2Bf(t)+2Ag(t).\end{align}

\(V^{\prime}(t)=0\) のとき,

\begin{align}(2A+2B)e^{2t}+(2B-2A)e^{-2t}=0\end{align}

両辺を \(e^{2t}\) 倍して, \(T=e^{2t}(>0)\) とおくと,

\begin{align}(A+B)T^2+(B-A)=0\end{align}

よって, \(\displaystyle T^2=\frac{A-B}{A+B}\) であり, \(T>0\) に注意して,

\begin{align}T=\sqrt{\frac{A-B}{A+B}}\Leftrightarrow e^{2t}=\sqrt{\frac{A-B}{A+B}}\end{align}

\begin{align}\Leftrightarrow 2t=\frac{1}{2}\log{\frac{A-B}{A+B}}\Leftrightarrow t=\frac{1}{4}\log{\frac{A-B}{A+B}}\end{align}

※ \(\displaystyle \frac{A-B}{A+B}>0\) であることは後述します.

\begin{array}{c|c|c}t & \cdots & \displaystyle \frac{1}{4}\log{\frac{A-B}{A+B}} & \cdots \\ \hline V^{\prime}(t) & – & 0 & + \\ \hline V(t) & \searrow & 極小 & \nearrow \\ \end{array}

増減表より, \(V(t)\) は \(\displaystyle t=\frac{1}{4}\log{\frac{A-B}{A+B}}\) のときのみ極値をとり, かつこのとき最小値となる.

A+BとA-Bが正であることの証明

(5) の解答では \(\displaystyle \frac{A-B}{A+B}>0\) と認めてルートをとりましたが, 実際は以下のように正であることが分かります. \(A+B>0\) であることと, \(A-B>0\) であることを証明します.

\begin{align}A+B=\frac{\pi}{4}\left(e^{-\frac{\pi}{4}}-e^{-\frac{3\pi}{4}}\right)-\frac{\sqrt{2}\pi}{8}e^{-\frac{3\pi}{4}}\end{align}

\begin{align}=\frac{\pi}{4}^{-\frac{\pi}{4}}-\frac{(2+\sqrt{2})\pi}{8}e^{-\frac{3\pi}{4}}=\frac{\pi}{8}e^{-\frac{3\pi}{4}}\left\{2e^{\frac{\pi}{2}}-(2+\sqrt{2})\right\}\end{align}

ここで,

\begin{align}2e^{\frac{\pi}{2}}-(2+\sqrt{2})>2e-(2+\sqrt{2})>2\cdot 2-(2+\sqrt{2})=2-\sqrt{2}>0\end{align}

であることと,

\begin{align}\frac{\pi}{8}e^{-\frac{3\pi}{4}}>0\end{align}

であることから, \(A+B>0\).

また,

\begin{align}A-B=\frac{\pi}{4}\left(e^{-\frac{\pi}{4}}-e^{-\frac{3\pi}{4}}\right)+\frac{\sqrt{2}\pi}{8}e^{-\frac{3\pi}{4}}\end{align}

\begin{align}=A+B+\frac{\sqrt{2}\pi}{4}e^{-\frac{3\pi}{4}}\end{align}

であるから, \(A+B>0\) と \(\displaystyle \frac{\sqrt{2}\pi}{4}e^{-\frac{3\pi}{4}}>0\) であることにより, \(A-B>0\) となる.

よって,

\begin{align}\frac{A-B}{A+B}>0.\end{align}

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