公立山口 工学部中期2020年第4問

公立山口 工【中期】
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問題文全文

関数 \(f(x)\) を用いて

\begin{align}I=\int_{-\pi}^{\pi}\left(1+f(x)+\{f(x)\}^2\right)dx\end{align}

とおく. このとき\(,\) 次の各問いに答えなさい.

(1) 関数 \(f(x)\) が実数 \(a,~b\) を用いて

\begin{align}f(x)=a\sin{\frac{x}{12}}-b\cos{\frac{x}{2}}\end{align}

で与えられるとき\(,~I\) を求めなさい.

(2) (1) の \(f(x)\) について\(,~-1\leqq a\leqq 1,~-1\leqq b\leqq 1\) のとき\(,~I\) の最小値を求めなさい.

(1) の着眼点

\begin{align}\int_{-a}^af(x)dx=\left\{\begin{array}{l}0~~(f(x) は奇関数) \\ \displaystyle 2 \int_0^af(x)dx~~(f(x) は偶関数) \\ \end{array}\right.\end{align}

が使えそうな形です. \(f(x)\) が偶関数か奇関数かを判断する必要があります.

\(f(-x)=f(x)\) が成り立つとき\(,~f(x)\) を偶関数といい\(,~f(-x)=-f(x)\) が成り立つとき\(,\) \(f(x)\) を奇関数といいます.

まずは \(I\) の式に \(f(x)\) を代入してみます. その後で奇関数か偶関数か判断しましょう.

(1) の解答

\begin{align}I=\int_{-\pi}^{\pi}\left(1+a\sin{\frac{x}{12}}-b\cos{\frac{x}{2}}+a^2\sin^2{\frac{x}{12}}-2ab\sin{\frac{x}{12}}\cos{\frac{x}{2}}+b^2\cos^2{\frac{x}{2}}\right)dx\end{align}

quandle
quandle

この中で奇関数と偶関数はそれぞれどれでしょうか.

\begin{align}a\sin{\frac{x}{12}},~-2ab\sin{\frac{x}{12}}\cos{\frac{x}{2}}\end{align}

の 2 つが奇関数で\(,\) その他はすべて偶関数です.

\begin{align}=2\int_0^{\pi}\left(1-b\cos{\frac{x}{2}}+a^2\sin^2{\frac{x}{12}}+b^2\cos^2{\frac{x}{2}}\right)dx\end{align}

\begin{align}=2\int_0^{\pi}\left\{1-b\cos{\frac{x}{2}}+\frac{a^2}{2}\left(1-\cos{\frac{x}{6}}\right)+\frac{b^2}{2}(1+\cos x)\right\}dx\end{align}

\begin{align}=\int_0^{\pi}\left\{(a^2+b^2+2)+b^2\cos x-2b\cos{\frac{x}{2}}-a^2\cos{\frac{x}{6}}\right\}dx\end{align}

\begin{align}=\biggl[(a^2+b^2+2)x+b^2\sin x-4b\sin{\frac{x}{2}}-6a^2\sin{\frac{x}{6}}\biggr]_0^{\pi}\end{align}

\begin{align}=(a^2+b^2+2)\pi -4b-3a^2.\end{align}

(2) の着眼点

\(I\) は \(a\) と \(b\) がともに動く 2 変数関数です. 2 変数関数では 「1 つずつ動かす」ことが大事です.

まず \(b\) を固定して \(a\) の 2 次関数とみます. \(a\) を動かすことで最小値が \(b\) だけの式で表されます.

次に \(b\) を動かして最小値を求めます. このようにして最小値を求める考え方を「予選決勝法」と言います.

これが 2 変数関数の基本姿勢ですが\(,\) このくらいの式であれば解答のように一辺に変形してしまいましょう.

(2) の解答

\begin{align}I=(\pi -3)a^2+\pi b^2-4b+2\pi\end{align}

\begin{align}=(\pi -3)a^2+\pi \left(b-\frac{2}{\pi}\right)^2+2\pi -\frac{4}{\pi}\end{align}

\(\displaystyle \pi -3>0,~0<\frac{2}{\pi}<1\) より\(,\) \(\displaystyle a=0,~b=\frac{2}{\pi}\) のとき\(,\) 最小値 \(\displaystyle 2\pi -\frac{4}{\pi}.\)

quandle
quandle

\(a^2\) の係数 \(\pi -3\) が正のときに下に凸になって最小値を持つので \(\pi -3>0\) を断る必要があります.

\(b\) の 2 次関数のところは軸 \(\displaystyle b=\frac{2}{\pi}\) が定義域 \(-1\leqq b\leqq 1\) の中に入っていれば頂点で最小値を取りますが\(,\) 入っていない場合は定義域の端点で最小値をとるので \(\displaystyle 0<\frac{2}{\pi}<1\) であることを断っています.

類題紹介

奇関数・偶関数の積分に関する類題を紹介します.

① 公立山口 工学部前期 2020年第1問(2)

② 公立諏訪 中期 2020年第3問

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