理学部第二部2020第5問

理【二部】
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問題文全文

\(n\) を正の整数とし, 次の等式(A)

\begin{align}x^{n+1}=(x^3-6x^2+12x-8)Q_n(x)+a_nx^2+b_nx+c_n~~\cdots\cdots(\mathrm{A})\end{align}

が実数 \(x\) についての恒等式となるような整式 \(Q_n(x)\), 整数の定数 \(a_n, b_n, c_n\) を考える.

(1) 3 次方程式 \(x^3-6x^2+12x-8=0\) が \(\fbox{$\hskip0.8emえ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\) を解にもつので, (A)より,

\begin{align}{\fbox{$\hskip0.8emお\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}}^{n+1}=\fbox{$\hskip0.8emか\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}a_n+\fbox{$\hskip0.8emき\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}b_n+\fbox{$\hskip0.8emく\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}c_n~~\cdots\cdots(\mathrm{B})\end{align}

が成り立つ. ただし, (B)の両辺は 0 でないとする.

(2) (A)の両辺をそれぞれ \(x\) の関数と考え, \(x\) について微分することを利用すると, \(a_n, b_n, c_n\) がそれぞれ求められる. よって,

\begin{align}a_{100}=\fbox{$\hskip0.8emけ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}^{100}\cdot\fbox{$\hskip0.8emこ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\fbox{$\hskip0.8emさ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\fbox{$\hskip0.8emし\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\fbox{$\hskip0.8emす\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$},\end{align}

\begin{align}b_{100}=-\fbox{$\hskip0.8emせ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}^{100}\cdot\fbox{$\hskip0.8emそ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\fbox{$\hskip0.8emた\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\fbox{$\hskip0.8emち\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\fbox{$\hskip0.8emつ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$},\end{align}

\begin{align}c_{100}=\fbox{$\hskip0.8emて\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}^{100}\cdot\fbox{$\hskip0.8emと\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\fbox{$\hskip0.8emな\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\fbox{$\hskip0.8emに\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\fbox{$\hskip0.8emぬ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\end{align}

となる.

(3) \(\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}\left|\frac{b_n-c_n}{a_n}\right|=\fbox{$\hskip0.8emね\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\) が成り立つ.

(1)の着眼点

(1)に関しては3乗の展開公式が頭に浮かんでいれば難なく分かるかと思います. もしそれが見えなくても代入して0になるような \(x\) を探せばOKです. その際, \(\fbox{$\hskip0.8emえ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\) に入る数の候補は, \(\displaystyle \pm\frac{定数項8の約数}{x^3の係数1の約数}\) の中から探すということと, 0〜9までの数しか入らないという穴埋め形式の特徴から, \(x=1, 2, 4, 8\) のいずれかになるはずです.

(1)の解答

\(x^3-6x^2+12x-8=0\Leftrightarrow (x-2)^3=0\) より, \(x=2\) を解にもつ. よって, (A)の両辺に \(x=2\) を代入して,

\begin{align}2^{n+1}=4a_n+2b_n+c_n~~\cdots\cdots(\mathrm{B})\end{align}

を得る.

(2)の着眼点

① (1)で \(a_n, b_n, c_n\) に関する関係式を1つ求めました. あと 2 つ求めれば良さそうです.

② 両辺を微分するように誘導されていますので 2 つ目の関係式も得られそうです. あと1つをどこから作るかですが, もう1回微分すれば出てきそうです.

③ 2回微分することになりますが, そもそも 2 回とも微分可能でしょうか. 結論から言えば2回とも微分可能です. (A)は両辺とも多項式だからです.

④ 一応触れておくと, 整式 \(Q_n(x)\) は \(n=1\) のときは0, \(n=2\) のときは1, \(n=3\) のときは 1 次式となり, いずれも 2 回微分すると 0 になってしまいます. こういうことをいちいち考えるのは面倒です.

今回は(2)で \(n=100\) のとき, (3)で\(n\rightarrow \infty\) のときしか扱いませんから最初から \(n≥4\) として計算して差し支えありません. こうしておくことで細かいことを言う必要がなくなります.(そもそも穴埋め形式なので言う必要はありませんが・・・)

(2)の解答

\(n=100\) のときを考えるので, \(n≥4\) として良い. このとき(A)の両辺を \(x\) で微分すると

\begin{align}(n+1)x^n=3(x-2)^2Q_n(x)+(x-2)^3Q_n^{\prime}(x)+2a_nx+b_n\end{align}

\(x=2\) のとき,

\begin{align}(n+1)2^n=4a_n+b_n~~\cdots\cdots (\mathrm{C})\end{align}

もう1度両辺を \(x\) で微分して,

\begin{align}n(n+1)x^{n-1}=6(x-2)Q_n(x)+6(x-2)^2Q_n^{\prime}(x)+(x-2)^3Q_n^{\prime\prime}(x)+2a_n\end{align}

\(x=2\) のとき,

\begin{align}n(n+1)2^{n-1}=2a_n~~\cdots\cdots(mathrm{D})\end{align}

(B), (C), (D)を解くと,

\begin{align}a_n=n(n+1)2^{n-2}, ~~b_n=-(n-1)(n+1)2^n,~~c_n=n(n-1)2^n\end{align}

となる. \(n=100\) を代入して,

\begin{align}a_{100}=100\cdot 101\cdot 2^{98}=25\cdot 101\cdot 2^{100}=2^{100}\cdot 2525.\end{align}

\begin{align}b_{100}=-99\cdot 101\cdot 2^{100}=-2^{100}\cdot 9999.\end{align}

\begin{align}c_{100}=100\cdot 99\cdot 2^{100}=2^{100}\cdot 9900.\end{align}

管理人
管理人

\(b_{100}\) を求めるときに出てくる \(99\cdot 101\) は \((100-1)(100+1)=10000-1=9999\)として暗算で処理したいですね.

(3)の解答

\begin{align}\lim_{n\rightarrow \infty}\left|\frac{b_n-c_n}{a_n}\right|\end{align}

\begin{align}=\lim_{n\rightarrow \infty}\left|\frac{-(n-1)(n+1)2^n-n(n-1)2^n}{n(n+1)2^{n-2}}\right|=\lim_{n\rightarrow \infty}\left|\frac{(n-1)(2n+1)2^n}{n(n+1)2^{n-2}}\right|\end{align}

\begin{align}=\lim_{n\rightarrow \infty}\left|\frac{\left(1-\frac{1}{n}\right)\left(2+\frac{1}{n}\right)\cdot 4}{1+\frac{1}{n}}\right|=\frac{1\cdot 2\cdot 4}{1}=8.\end{align}

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