理学部第二部2019年第5問

理【二部】
スポンサーリンク

問題文全文

 \(3\) 次関数 \(f(x)\) が次の \(3\) つの条件 (ⅰ)\(,\) (ⅱ)\(,\) (ⅲ) を満たすとする.

(ⅰ) \(f(0)=1\)

(ⅱ) \(f^{\prime}(0)=f^{\prime}(1)=-3\)

(ⅲ) \(x=a\) で極大値 \(f(a)\)\(,\) \(x=b\) で極小値 \(f(b)\) をとり\(,\) \(f(a)-f(b)=|a-b|\)

ただし\(,\) \(f^{\prime}(0)\) と \(f^{\prime}(1)\) はそれぞれ \(f(x)\) の \(x=0\) と \(x=1\) における微分係数とする.

このとき\(,\)

\begin{align}f(x)=-~\fbox{$\hskip0.8emル\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}~x^3+~\fbox{$\hskip0.8emレ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}~x^2-~\fbox{$\hskip0.8emロ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}~x+~\fbox{$\hskip0.8emワ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\end{align}

着眼点

① まずは穴埋め式であることを確認しましょう. 入試は制限時間がありますから\(,\) 数学的に不完全であってもとにかく穴が埋められればOKです.

\(\fbox{$\hskip0.8emル\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\) の形から\(,\) \(x^3\) の係数が負であることがわかります. 問題を解くときは \(x^3\) の係数を負と決めてしまって解くことで大きな時短になります. (記述であれば正のときの考察がなければ大きな減点となるでしょう)

\(x^3\) の係数が負ということは「減少→増加→減少」の形の \(3\) 次関数ですから\(,\) (ⅲ) の条件から \(b<a\) であることもわかり\(,\) \(|a-b|\) は絶対値をはずして \(a-b\) としていいことになります.

② \(f(a)-f(b)=a-b\) という式を見て何を連想できますか?筆者は以下の \(3\) つを連想しました.

1:\(\displaystyle \frac{f(a)-f(b)}{a-b}=1\) とみることで平均値の定理が使えるかもしれない

2:\(\displaystyle f(a)-f(b)=\biggl[f(a)\biggr]_b^a=\int_b^af^{\prime}(x)dx\) の変形から攻められるかもしれない.

3:\(f(a)-f(b)\) と \(a-b\) が等しいということは正方形になるということだから\(,\) 図形的に考察して攻められるかもしれない. \(5\) 点定理と相性がいいかもしれない.

「〜できるかもしれない」という選択肢がたくさんあると試験中も心強いです. 失敗しても次を試せばいいやと思えるからです.

穴埋め式であることに特化した解答

\begin{align}f(x)=px^3+qx^2+rx+s~~(p<0)\end{align}

とおく.

quandle
quandle

\(\fbox{$\hskip0.8emハ\hskip0.8em\Rule{0pt}{0.8em}{0.4em}$}\) の形から \(p<0\) としてしまいましょう. 記述であればもちろん \(p\neq 0\) です.

(ⅰ) より\(,\)

\begin{align}f(0)=s=1~~~~\cdots ①\end{align}

\begin{align}f^{\prime}(x)=3px^2+2qx+r\end{align}

であるから\(,\) (ⅱ) より\(,\)

\begin{align}f^{\prime}(0)=r=-3~~~~\cdots ②\end{align}

\begin{align}f^{\prime}(1)=3p+2q+r=-3~~~~ \cdots ③\end{align}

よって\(,\)

\begin{align}q=-\frac{3}{2}p\end{align}

①\(,\) ②\(,\) ③より

\begin{align}f(x)=px^3-\frac{3}{2}px^2-3x+1\end{align}

\begin{align}f^{\prime}(x)=3px^2-3px-3=3(px^2-px-1)\end{align}

(ⅲ) より\(,\) \(f(x)\) は \(x=a,~b\) で極値をもつので\(,\) \(f^{\prime}(x)=0\) は異なる \(2\) つの実数解 \(a,~b\) をもつ. 判別式を考えて\(,\)

\begin{align}(-p)^2-4p(-1)>0\end{align}

\begin{align}p(p+4)>0\end{align}

\(p<0\) より\(,\)

\begin{align}p<-4\end{align}

解と係数の関係より\(,\)

\begin{align}a+b=1,~ab=-\frac{1}{p}~~~~\cdots ④\end{align}

\(f^{\prime}(x)=3p(x-a)(x-b)\) であることに注意して\(,\)

\begin{align}f(a)-f(b)=\biggl[f(x)\biggr]_b^a\end{align}

\begin{align}=\int_b^af^{\prime}(x)dx=\int_b^a3p(x-a)(x-b)dx\end{align}

\begin{align}=3p\cdot \left(-\frac{1}{6}\right)(a-b)^3=-\frac{p}{2}(a-b)^3~~~~\cdots ★\end{align}

\(b<a\) より\(,\) \(f(a)-f(b)=a-b\) であるから\(,\)

\begin{align}-\frac{p}{2}(a-b)^3=a-b\end{align}

\(a\neq b\) より\(,\) \(a-b\neq 0\) であるから\(,\)

\begin{align}-\frac{p}{2}(a-b)^2=1\end{align}

\begin{align}-\frac{p}{2}\{(a+b)^2-4ab\}=1\end{align}

④ を代入して\(,\)

\begin{align}-\frac{p}{2}\left(1+\frac{4}{p}\right)=1\end{align}

\begin{align}p=-6\end{align}

これは\(,\) \(p<-4\) を満たす. 以上より\(,\)

\begin{align}f(x)=-6x^3+9x^2-3x+1~~~~\cdots \fbox{答}\end{align}

ル:6 レ:9 ロ:3 ワ:1

記述式の場合

quandle
quandle

記述式の場合は大きく \(2\) 点をきちんと記述しなければなりません.

① \(p>0\) の場合を考察する

② 増減表をかく

②について上の解答ではグラフの形を決めつけて解答しましたが\(,\) 実際はきちんと増減表をかいて記述する必要があります.

\(p>0\) のとき ★ までは同様で\(,\)

\begin{align}f^{\prime}(x)=3p(x-a)(x-b)\end{align}

は下に凸の放物線であるから\(,\) \(x=a\) で極大値\(,\) \(x=b\) で極小値をとることに注意すると増減表は以下のようになる.

\begin{align}\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|} \hline x & \cdots & a & \cdots & b & \cdots \\ \hline f^{\prime}(x) & + & 0 & – & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & 極大 & \searrow & 極小 & \nearrow \\ \hline \end{array}\end{align}

\(a<b\) であるから\(,\) \(f(a)-f(b)=-(a-b)\) となるので\(,\)

\begin{align}-\frac{p}{2}(a-b)^3=-(a-b)\end{align}

\(a\neq b\) より \(a-b\neq 0\) であるから\(,\)

\begin{align}\frac{p}{2}(a-b)^2=1\end{align}

\begin{align}\frac{p}{2}\left(1+\frac{4}{p}\right)=1\end{align}

\begin{align}p=-2\end{align}

これは \(p>0\) を満たさないので適さない.

コメント

タイトルとURLをコピーしました