理学部(応数・応物・応化)2021年第3問

理(応数・応物・応化)
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問題文全文

座標平面上で\(,\) 直線 \(\ell ~:~x=-1\) 上の点 \(\mathrm{M}\) に対して\(,\) 原点 \(\mathrm{O}\) と \(\mathrm{M}\) を結ぶ直線上の点 \(\mathrm{P}\) を線分 \(\mathrm{MP}\) の長さが \(2\) で\(,\) \(\mathrm{P}\) と \(\mathrm{O}\) が \(\ell \) に関して同じ側にあるようにとる. \(\mathrm{M}\) が \(\ell \) 上を動くとき\(,\) \(\mathrm{P}\) が描く曲線を \(C\) とおく. 以下の問いに答えよ.

(1) \(\mathrm{M}\) の座標を \(\displaystyle (-1,~\tan{t})~~\left(-\frac{\pi}{2}<t<\frac{\pi}{2}\right)\) とするとき\(,\) \(\mathrm{P}\) の座標を \(t\) を用いて表せ.

(2) \(\displaystyle t=t_1 ,~t_2~~\left(-\frac{\pi}{2}<t_1 <t_2 <\frac{\pi}{2}\right)\) のとき\(,\) (1) で求めた \(\mathrm{P}\) の座標が一致するような \(t_1 ,~t_2\) を求めよ.

(3) \(C\) 上の点で\(,\) その点における \(C\) の接線が \(x\) 軸と垂直であるような点の座標を求めよ.

(4) \(C\) 上の点で\(,\) その点における \(C\) の接線が \(x\) 軸と平行であるような点が \(2\) つある. その点の \(x\) 座標を求めよ. また\(,\) \(2\) 点の \(y\) 座標の和も求めよ.

(5) \(\mathrm{M}\) が (2) で求めた \(t_1 ,~t_2\) に対して\(,\) \(t\) が \(t_1 \leqq t \leqq t_2\) の範囲を動くとき \(\mathrm{P}\) が描く曲線の概形を描け.

(6) (1) で求めた \(\mathrm{P}\) の座標を \((x(t),~y(t))\) とするとき\(,\) \(\displaystyle \int_{t_1}^{t_2} |y(t)|x^{\prime}(t)dt\) の値を求めよ. ここで\(,\) \(|y(t)|\) は \(y(t)\) の絶対値\(,\) \(x^{\prime}(t)\) は \(x(t)\) の導関数を表す.

(1) の解答

\begin{align}\mathrm{M}(-1,~\tan{t})\end{align}

\begin{align}\overrightarrow{\mathrm{PM}}=k\overrightarrow{\mathrm{OM}}~(k>0)\end{align}

とおくと\(,\) \(\left|\overrightarrow{\mathrm{PM}}\right|=2\) より\(,\)

\begin{align}{\left|\overrightarrow{\mathrm{PM}}\right|}^2=k^2{\left|\overrightarrow{\mathrm{OM}}\right|}^2\end{align}

\begin{align}4=k^2(1+\tan^2{t})\end{align}

\begin{align}4=k^2\cdot \frac{1}{\cos^2{t}}\end{align}

\begin{align}k^2=4\cos^2{t}\end{align}

\(\displaystyle k>0,~-\frac{\pi}{2}<t<\frac{\pi}{2}\) より\(,\)

\begin{align}k=2\cos{t}\end{align}

quandle
quandle

最初にベクトルを設定するときに

\begin{align}\overrightarrow{\mathrm{OM}}=k\overrightarrow{\mathrm{OP}}\end{align}

としてしまうと\(,\) \(\mathrm{P}\) が \(y\) 軸より右側に行ってしまったときに \(k\) の値は負になります. 解答のようにおくことで \(k>0\) と限定することができます.

\begin{align}\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(1-k)\overrightarrow{\mathrm{OM}}\end{align}

\begin{align}=(1-2\cos{t})(-1,~\tan{t})\end{align}

よって\(,\)

\begin{align}\mathrm{P}(-1+2\cos{t},~\tan{t}-2\sin{t})~~~~\cdots\fbox{答}\end{align}

(2) の解答

\begin{align}\left\{\begin{array}{c}-1+2\cos{t_1}=-1+2\cos{t_2}\\ \tan{t_1}-2\sin{t_1}=\tan{t_2}-2\sin{t_2}\\ \end{array}\right. \end{align}

\begin{align}\Leftrightarrow \left\{\begin{array}{cc}\cos{t_1}=\cos{t_2} & \cdots ① \\ \tan{t_1}-2\sin{t_1}=\tan{t_2}-2\sin{t_2} & \cdots ②\\ \end{array}\right. \end{align}

\(\displaystyle -\frac{\pi}{2}<t_1 <t_2 <\frac{\pi}{2}\) であることに注意して\(,\) ①より\(,\)

\begin{align}t_2=-t_1\end{align}

このとき\(,\) ②に代入して\(,\)

\begin{align}\tan{t_1}-2\sin{t_1}=\tan{(-t_1)}-2\sin{(-t_1)}\end{align}

\begin{align}\tan{t_1}-2\sin{t_1}=-\tan{t_1}+2\sin{t_1}\end{align}

\begin{align}2\tan{t_1}=4\sin{t_1}\end{align}

\(t_1\neq 0\) より\(,\) \(2\sin{t_1}(\neq 0)\) で両辺を割ると\(,\)

\begin{align}\frac{1}{\cos{t_1}}=2\end{align}

\begin{align}\cos{t_1}=\frac{1}{2}\end{align}

したがって\(,\)

\begin{align}t_1=-\frac{\pi}{3},~t_2=\frac{\pi}{3}~~~~\cdots \fbox{答}\end{align}

quandle
quandle

ちなみにこのとき \(\mathrm{P}\) の座標は \(\mathrm{P}(0,~0)\) です.

(3) の解答

\(y=f(x)\) において\(,\) \(x=a\) における接線の方程式は

\begin{align}y=f^{\prime}(a)(x-a)+f(a)\end{align}

とかけます.

\(f^{\prime}(a)\) が有限の値のときは \(x\) 軸に垂直でない接線をもちます.

つまり\(,\) 接線が \(x\) 軸に垂直ということは \(f^{\prime}(a)\) が有限の値にならないことが必要です.

今回は \(x,~y\) が媒介変数表示されているので導関数は以下の公式で求めましょう.

\begin{align}\frac{dy}{dx}=\cfrac{\cfrac{dy}{dt}}{\cfrac{dx}{dt}}\end{align}

\begin{align}\left\{\begin{array}{c}x=-1+2\cos{t}\\ y=\tan{t}-2\sin{t}\end{array}\right.\end{align}

\begin{align}\frac{dx}{dt}=-2\sin{t}\end{align}

\begin{align}\frac{dy}{dt}=\frac{1}{\cos^2{t}}-2\cos{t}=\frac{1-2\cos^3{t}}{\cos^2{t}}\end{align}

\(t\neq 0\) のとき\(,\)

\begin{align}\frac{dy}{dx}=\frac{1-2\cos^3{t}}{-2\cos^2{t}\sin{t}}\end{align}

が存在するため\(,\) 接線が \(x\) 軸と直交することはない.

直交するとすれば\(,\) \(t=0\) のときであり\(,\) このとき接線は

\begin{align}x=1\end{align}

であり\(,\) 点 \(\mathrm{P}\) の座標は

\begin{align}\mathrm{P}(1,~0)~~~~\cdots \fbox{答}\end{align}

(4) の解答

(3) において \(\displaystyle \frac{dy}{dx}=0\) となるときを考える.

\begin{align}\frac{dy}{dx}=0\end{align}

\begin{align}1-2\cos^3{t}=0\end{align}

\begin{align}\cos^3{t}=\frac{1}{2}\end{align}

\begin{align}\cos{t}=\frac{1}{\sqrt[3]{2}},~\sin{t}=\pm \sqrt{1-\frac{1}{\sqrt[3]{4}}}\end{align}

このとき\(,\)

\begin{align}x=-1+\frac{2}{\sqrt[3]{2}}~~~~\cdots \fbox{答}\end{align}

\begin{align}y=\pm (\sqrt[3]{2}-2)\sqrt{1-\frac{1}{\sqrt[3]{4}}}\end{align}

であるから\(,\)

\begin{align} y ~座標の和は~ 0~~~~\cdots \fbox{答}\end{align}

(5) の着眼点

(4) で \(\displaystyle x=-1+\frac{2}{\sqrt[3]{2}}\) のとき\(,\) \(y\) の値は絶対値が等しく異符号でした.

このことから「もしかしたら \(x\) 軸対称なのでは?」と予想ができます.

媒介変数表示された曲線が \(x\) 軸対称であることを示すためには\(,\)

\(x=x(t),~y=y(t)\) に関して\(,\)

\begin{align}x(-t)=x(t),~y(-t)=-y(t)\end{align}

であることを示せばOKです.

※一般には \(x(○)=x(t),~y(○)=-y(t)\) であることを示せばOKです. 問題によっては○部分が \(-t\) であったり\(,\) \(\pi -t\) であったりします.

(5) の解答

\(x=x(t),~y=y(t)\) とおくと\(,\)

\begin{align}x(-t)=-1+2\cos{(-t)}=-1+2\cos{t}=x(t)\end{align}

\begin{align}y(-t)=\tan{(-t)}-2\sin{(-t)}=-\tan{t}+\sin{t}=-y(t)~~~~\cdots (※)\end{align}

であるから\(,\) 求める曲線は \(x\) 軸対称になる.

\(\displaystyle -\frac{\pi}{3}\leqq t \leqq \frac{\pi}{3}\) における曲線は\(,\) \(\displaystyle 0\leqq t \leqq \frac{\pi}{3}\) における曲線とそれを \(x\) 軸に関して対称に折り返した曲線を合わせたものになる. (4) で求めた \(t\) の値を \(\alpha \) とおくと\(,\) 増減表は以下のようになる.

\begin{align}\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|}\hline t & 0 & \cdots & \alpha & \cdots & \displaystyle\frac{\pi}{3}\\ \hline \displaystyle \frac{dx}{dt} & 0 & – & – & – & – \\ \hline \displaystyle \frac{dy}{dt} & – & – & 0 & + & + \\ \hline x & 1 & \leftarrow & x(\alpha ) & \leftarrow & 0 \\ \hline y & 0 & \downarrow & y(\alpha ) & \uparrow & 0 \\ \hline \end{array}\end{align}

quandle
quandle

\(\alpha \) は

\begin{align}x(\alpha )=-1+\frac{2}{\sqrt[3]{2}}\end{align}

\begin{align}y(\alpha )=(\sqrt[3]{2}-2)\sqrt{1-\frac{1}{\sqrt[3]{4}}}\end{align}

をみたす実数です.

増減表より求める曲線は以下のようになる.

原点からスタートして時計回りに1周してきて再び原点に戻ってくる曲線になります.

Geogebraによるシュミレーション

スライダーを使うことで \(-60^{\circ}\leqq t \leqq 60^{\circ}\) の範囲で \(t\) を連続的に変化させることができます.

\(t=-60^{\circ}\) のとき\(,\) 原点にあり\(,\) ここからスタートして時計回りに移動をして\(,\) \(t=60^{\circ}\) のときにまた原点に戻ってくる様子が観察できます.

(6) の着眼点

定義域が \(\displaystyle -\frac{\pi}{3}\leqq t \leqq \frac{\pi}{3}\) となっていますから\(,\) 以下の公式を利用しましょう.

\begin{align}\int_{-a}^af(x)dx=\left\{ \begin{array}{cc}0 & (f(x)~:~奇関数) \\ \displaystyle 2\int_0^af(x)dx & (f(x)~:~偶関数) \end{array}\right. \end{align}

被積分関数が奇関数か偶関数かを調べましょう.

(6) の解答

(※) より \(y(t)\) は奇関数であるから \(|y(t)|\) は偶関数である. そして\(,\)

\begin{align}x^{\prime}(t)=-2\sin{t}\end{align}

は奇関数であるから\(,\) \(|y(t)|x^{\prime}(t)\) は奇関数である. よって

\begin{align}\int_{t_1}^{t_2}|y(t)|x^{\prime}(t)dt=\int_{-\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{3}}|y(t)|x^{\prime}(t)dt=0~~~~\cdots \fbox{答}\end{align}

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